人工妊娠中絶の倫理的問題

人工妊娠中絶は人工的な手段を用いて意図的に妊娠を中断させることを指し、日本でも毎年1万件近く件数は減り続けいるものの、年間で10万件を超える件数の中絶手術が行われています。この問題は常に生命倫理的に認められるか否かの議論に晒されており、現在でも明確な決着はついていません。中絶についての議論で中心的な論点となるのは、胎児は人間であるのか、権利の主体は誰なのかという2つの点です。積極的に認める側の主張は、痛みなどの知覚や外界の認知能力などの機能が発達していない初期段階の胎児には人権はないとするか、胎児の人権よりも女性の自己決定権の方が優先されるべきというものです。

しかし、この主張には将来的に人権を持つ存在を殺すことは殺人ではないのか、知覚や認知能力が欠如した存在を殺すことが正当だとすればそういった障害を持つ人を殺してもいいのかなどの反論があり、認める立場人々はこれらの問題にも答えなければなりません。反対に絶対的に認めない側の主張は生命に重きを置き、胎児が人でありそれを殺すことは殺人に等しいので、認めるべきではないとするものです。しかしこの主張にも、望まぬ形であったり、暴力的な手段で妊娠を強いられた場合や、子供が興味本位で性行為に及んで妊娠した場合でも産まなくてはならないのかという反論があります。このように。

どちらの立場が明確に正しいのかという答えを出せないため、現実的な対処として中絶が認められており、手術が行われているのです。

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